カフェには黒豹と王子様がいます

「オレンジピールとかどうですか?俺、オレンジピールのチョコがけとか大好きなんです」

「オレンジピール!それいいね!」

「じゃあさ、じゃあさ、こっちのナッツのタルトは?」

「もう少し焼き目とかつくと、香ばしくなるんじゃないですかね」

「そっか、じゃあ、表面をバーナーであぶって、……ちょっとしっとり感がなくなるから、生クリームを添えるとかどうかな?」

「いいと思います!」

 こんな風に、俺みたいなバイトの意見を嬉しそうに聞いてくれるマスターの懐の深さはすごいと思う。

 

 そんなある日、新しいバイトが入ってきた。

 西口琴音。

 なんかぼんやりしたやつだった。

 まあ笑顔はいい。

 マスターはそこに騙されたな。

 よし!思いっきり仕込んでやる。