カフェには黒豹と王子様がいます

「小野田!」

 店に入るなり、叫んだ。

 出てきたのは豊川。

「あ、今、店を出たところです!今ならまだ間に合うかも!大通りでタクシーを拾うと言っていたから」

「わかった!」


 大通りに向かって走った。

 いた。

 今まさにタクシーに乗り込もうとしている小野田。

「早く、小野田を呼べ!行っちまう!」

 僕は、西口の背中を押した。

 これは賭けだった。

 これでも西口の声が出なかったら、西口はもう僕のものだ。

 西口が何かを伝えようと必死になる。

 声が出ないでほしいと思っている自分が、とてつもなく嫌なやつに思えた。

 出て欲しいと願うふりをした。

 その時……

「お……のだ先輩!」

 出た。

 久しぶりに聞いた西口の声。