カフェには黒豹と王子様がいます

 夕日の入る病室で小さく笑う西口。

 怪我をしたところにそっと触れた。

「もう、痛まない?」

 そう聞くと、西口はニコッと笑った。

 涙が出た。

 止まらない涙。

 西口の手の平が、僕をなでる。 

 僕は西口の手のひらにキスをして、西口を抱きしめた。

 「本当に、無事でよかった」

 西口の体温を、心臓の音を確かめるように抱きしめた。




 
 西口の退院後、時々西口の家の前まで行った。

 でも、訪ねていく勇気はない。

 これじゃストーカーだ。

 思い切って行ってみようと思い、シュークリームを持って西口の家に行った。

 チャイムを鳴らしても出ない。

 どこに行ったんだろう?

 学校か?

 いや、今は春休み中、そんなはずはない。

 ……店か。