カフェには黒豹と王子様がいます

 ごめん博子さん、あなたはちっとも悪くないのに、きっと今、僕にさけられて傷ついたよね?

 ごめん博子さん、もう少し、もう少し時間が欲しい。


 僕は西口の腕をつかむと、病院を出た。

 なるべく病院から遠く離れたかった。


「先輩、痛いです。お願い、ちょっと止まって」

 その言葉を聞くまで、西口をつかんだ手に力が入っていることに気が付かなかった。

 西口は心配そうに僕の顔を見つめる。

 もうたまらなかった。

 西口を抱きしめた。

「西口、ごめん、しばらくこうしていて」

「……はい」

 拒否されなかったことがうれしかった。

 西口は、僕を慰めるように僕の背中に手を回し、ぎゅっと抱きしめてくれた。

 うれしかった。