カフェには黒豹と王子様がいます

 サイテーだ。

「帰ります」

 と言われても

「うん」

 としか答えられなかった。

 もっと「送るよ」とか、気の利いた言葉は出なかったのか。

 足も動かない。

 見送ることしかできない。

 そうしたら、いきなりこっちを振り返って、ぶんぶんと手をふる。

「お疲れさまでした!また明日!」

 僕はふきだしてしまった。

 この緊張が一気になくなった。

 かわいいな。





 次の日に仕事に行くと、元子さんが動転して駈け込んで来た。

 元子さんの飼っている犬が車にはねられたらしい。

 今はケーキフェア中だ。

 マスター付き添うわけにもいかず、僕が病院まで連れていくことになった。