カフェには黒豹と王子様がいます

「あの……私……」

 西口の声を聴いた瞬間、僕は西口からぱっと離れた。

 やっぱり僕じゃダメなのか?

 やっぱり小野田がいいのか?

「ご、ごめんごめん、西口を困らせるつもりはなかったんだ。今の忘れて」

 怖い。西口が「小野田先輩じゃないと嫌だ」と言いそうで。

 そっと西口を見ると、な、泣いている。

「え?ごめん、泣かないでよ、西口。もう、しないから」

 泣かせてしまった。

 そんなに嫌だったのか。

 泣いている西口をどうやって慰めたらいい?

 今までどうしてたっけ?

 ……今までの事なんか参考にならないのは分かり切っていた。

 今まで付き合った子とは、いいかげんだった。相手の気持ちなんて考えもしなかった。