カフェには黒豹と王子様がいます

 と言いながら、竹本さんは隙あらば僕の手を握ってきたり、お尻を触ったりする。

 勘弁してほしい。

 でも、コーヒーのこの香りは本物だった。

 この人天才かもしれない。

 コーヒーの入れ方を見てみたくて、厨房を覗き込むと、

「あら、いらっしゃい」

 と言って、ケーキを一口差し出す。

「新作なのよ~食べてみてよ」

 こんな天才的なコーヒーを入れる人はいったいどんなケーキを作るんだろう。

 そっちの興味の方が勝ってしまった。

 ケーキも絶品だった。でも、僕が食べたそのフォークを竹本さんはぺろりとなめた。

 そしてフォークの背中で、僕の胸のあたりをなでる。