カフェには黒豹と王子様がいます

「小指?」

 あ、すっかり忘れてた!小指の秘密!

「タンブラーを置く時に、机に小指を置いてからタンブラーを置くんだ。やってみな」

 も、もう怒ってないのかな?

 とりあえず、空のタンブラーを持ってきて机に置いてみる。

 小野田先輩みたいに無音で置くことはできなかったけど、直接置くより、はるかに音は小さかった。

「練習すればうまくなる」

「ありがとうございます。それから、今日はすいませんでした」

 やっと、ちゃんと謝ることができた。

「おまえさ、俺らのまねするんじゃなくて自分の出来ること、自分のいいとこを伸ばすように接客したらどうだ?いろんな店員がいるからいい店になるんだ。コピーはいらねえ」

 それだけ言ってふいっと帰ってしまった。

 コピーはいらねえ……マネはするなってこと?先輩を目指しちゃダメってこと?

 分かんない。どうしたらいいのかわかんない。