カフェには黒豹と王子様がいます

 私は徳永先輩に支えられるようにして店を出た。

「少し歩こうか」

 そう言って、私の手を握った。

 私はずるい。

 心の奥で小野田先輩の事ばかり考えているのに、徳永先輩のこのやさしさを拒めない。

 小野田先輩のことはもう考えたくない。

 フランスにでもどこにでも行ってしまえばいい。

 私の前から消えて欲しい。

 このまま徳永先輩の事だけを見つめていけたら……。

 徳永先輩の腕にギュッとしがみついた。

「西口?どうした?」

 もう涙も枯れてしまった。

 徳永先輩を見上げる。

「ん?」

 いとおしそうに私を見る。