カフェには黒豹と王子様がいます

 思いが伝わらない。

 美味しかったなんて一言では表せない。

 感謝の気持ちでいっぱいだった。

 小野田先輩は、こっちに近づかないようにしているのか、あまり顔を見せない。

 顔を見るのはつらいのに、こっちを見てもらえないのはもっとつらい。

 小野田先輩、こっちを向いて。

 小野田先輩、私を見て。

 小野田先輩、「西口」って呼んで。

「西口さん」

 はっとそっちを見ると、豊川くんがいる。

「小野田さん、呼んで来ようか?」

 豊川くんは悲しげに笑う。 

「西口さん、わかりやすすぎるよ」

 少しして、小野田先輩が、あまり私を見ないようにこっちに来る。

「西口……退院したんだな。よかったな」