カフェには黒豹と王子様がいます

「西口の手ぇ離せ!」

「離さない!」

 小野田先輩が竹本さんをよけて前に出るより先に、徳永先輩が無言で豊川くんの肩をつかんで睨んだ。

「離れろ」

 迫力のある一言に少し怯えた豊川くんは、私から手を離した。

 徳永先輩は私の前にしゃがみ込んだ。

「小野田となんかあった?」

 笑わない徳永先輩が怖かった。

 怒っている。

 徳永先輩は昨日からずっと笑わない。

 涙が出る。

 小野田先輩への想いに気付いてしまった私。

 伝わってくる、徳永先輩の想い。

 それが辛い。