カフェには黒豹と王子様がいます

 豊川くんは、少し裏で休むように言ってくれた。

 そして、しばらくして、ノックする音がする。

 振り向くと、豊川くんの手には、ケーキプレートが乗っていた。

「僕のおごりです。マスター特製、西口スペシャル」

 プレートの中身は、私の大好きなケーキばかりだった。

 オランジェットオペラ、とろりチーズのベイクドチーズケーキ、カリカリナッツのタルト、コーヒーとバニラとカラメルのムース、ベリーのブランマンジェ。

 それにたっぷりの生クリームと、ベリーソース、カフェソースでデコレーションしてあった。

 そして、特製癒しブレンドのコーヒー。

 二人のやさしさが泣ける。

 私は泣きながらケーキを食べた。

「美味しい……」

 豊川くんは、隣に座って私の頭をなでた。

「僕、今日は西口さんの分まで働きます。だから、ここで落ち着くまでゆっくりしていてくださいね。」