カフェには黒豹と王子様がいます

 次の日、バイトに行く前に、泣いて腫れてしまった眼を一生懸命冷やした。

 お客様の前では笑わなくちゃ。

 マスターに心配かけないようにしなくちゃ。

 今日は小野田先輩が休みなのが救い。


 店に行くと、陽気な豊川くんが、いつものようにまとわりつく。

 かまう元気も、かわす元気もない。

 この店の中にいると、小野田先輩のしなやかな動きが、嫌でも思い出される。

 思い出すな。

 涙、出るな。

 しっかりしろ!


「西口さん、具合悪いの?」

 マスターに気付かれた。

「マスター、僕、西口さんを元気にする方法、知ってますよ」

「え?なに?」