「見てたらわかるでしょ。やっぱり琴ちゃんはかわいいわ~」

「ごめんね、言いそびれてて」

 徳永先輩が少しいじわるっぽく言う。

 そっか、名前だって、きょうこときょういち。

 言われて見れば顔も、しぐさもそっくり。

 そっか、妹だったのか。

 家庭の事情って……。

 でも、仲良すぎじゃない?

「はい!」

 いきなりマスターが手をあげた。

 みんながマスターを見る。

「この際だからさ、僕の気持ち言ってもいいかな」

「どうぞ」

 徳永先輩が優しく言う。

「僕はさ、ゆくゆくは徳永くんにこの店継いでいってほしいんだ」

 みんな驚いた顔をする。

 さすがに元子さんはそんなマスターの気持ちを知っていたのか、にっこりほほえむ。