カフェには黒豹と王子様がいます

「先輩、痛いです。お願い、ちょっと止まって」

 徳永先輩は、はっと気づいたように急に止まると、手を離した。

 そして、私をじっと見る。

「徳永せんぱ……」

 先輩は私をぎゅっと抱きしめた。いつもみたいにやさしくない。

「西口、ごめん、しばらくこうしていて」

「……はい」

 徳永先輩の匂いがする。

 ドキドキする。

 でもこの腕の中は心地いい。

 私はそっと先輩の背中に手を回した。

 先輩が私を抱きしめる力が強くなった。

 なんとなく辛そうな徳永先輩を慰めたくて、私も先輩を抱きしめる力を強くした。

 
 もうどのくらいこうしていただろう。

 すごく長い時間だったような、短い時間だったような……。