カフェには黒豹と王子様がいます

 私はマスターと、動物病院に急いだ。

 病院につくと、診察台でぐったりとしている小さくて茶色のトイプードルの横に、まだ涙が乾かない元子さんがしゃがんでいた。

 徳永先輩は元子さんの背中を優しくなでている。

 元子さんは、マスターの顔を見るなり、マスターの腕の中でまた泣き出した。

「徳永先輩」

「ああ、西口、ごめん、大変だったろ?」

「店は大丈夫です。それよりワンちゃんは?」

「シュガーは大丈夫だよ。元子さんのアレは安心の涙だから」

 その時、徳永先輩は、私の後ろに目線が行った。

 目を見開く。

 すぐにパッと目をそらした。

「お姉ちゃん」

 私の後ろにいる人の声だった。

 振り向くと、元子さんそっくりの女の人が立っていた。

「博子~。シュガーちゃん大丈夫だったよ。大丈夫だった」