カフェには黒豹と王子様がいます

 徳永先輩は、私が泣きやむまで黙って私のそばにいてくれた。

 私に触れるか触れないかギリギリのところで、手をのばしては引っ込める。

 そんな徳永先輩がおかしくて、かわいくて少し落ちついた。

 私は、下を向いたまま言った。

「……帰ります」

「……うん」

 家に向かって歩き出した私を見送る、徳永先輩。

 ほんとは、早く一人になりたかった。

 徳永先輩の思い、私の思い、この前の小野田先輩の態度……この混乱した頭を整理したかった。

 でも、早足になると、徳永先輩を傷つけそう。

 私は思い切って振りかえって、徳永先輩に大きく手を振った。

「お疲れさまでした!また明日!」

 少し遠くから私を見ていた徳永先輩がブッと吹き出して、爆笑しているのが見える。