カフェには黒豹と王子様がいます

 息ができない。

「あの……私……」

 声を出した瞬間、徳永先輩は私からぱっと離れた。

 そっと徳永先輩の顔を見ると、徳永先輩は少し悲しげな顔をした後、すぐに、いつもの王子スマイルに戻っていた。

「ご、ごめんごめん、西口を困らせるつもりはなかったんだ。今の忘れて」

 え?そうなの?

 もう徳永先輩が分からない。

 私の事……好き……なの?ちがうの?ただ、からかっただけなの?

 もうわからない。

 わからない!わからない!

「え?ごめん、泣かないでよ、西口。もう、しないから」

 どうして涙が出るのかわからない。

 抱きしめられてうれしかったのに、「今の忘れて」がショックだったのか、……ふと小野田先輩の顔が出てきたからなのか。