カフェには黒豹と王子様がいます

「ふうん」

「なに?呼び捨てで呼ばれたい?」

「え!そ、そんなことないです」

「ていうか、西口って下の名前なんだっけ」

 今更か……まあ、私も先輩たちの下の名前知ったの、最近だけど。

「……琴音です」

「へえ。かわいい名前」

「9番オーダー上がったよー」

「はい」

 徳永先輩がトレンチを構えると、こっちを向いてにやっと笑った。

「5番のお客様が呼んでるよ」

「あ、はい」

 仕事に戻り、3番は気にしないように接客をした。

 洗い場に入ろうとしたとき、後ろから低い声がした。

「琴音」

 息が止まった。心臓が飛び出るかと思った。