小野田先輩も、彼女の前ならあんな笑顔ができるんだ。

 やさしげな、あきらかに大事にしてますって、そんな顔。

 小野田先輩と徳永先輩が下の名前で呼ひあう人、初めて見た。

 嬉しそうにマスターに注文を言いに行く小野田先輩。

「どうしたの?西口」

「え?いえ、べつに」

「……あーなるほどね」

「なんですか?」

「気になるんだろ?3番テーブルに座ってる女の子のこと」

「え!?き、気になりません」

「フフ、わかりやすいねえ、西口。かわいい」

 顔が赤くなる。か、かわいいとかっ。

「誰か教えて欲しい?」

「……はい」

「教えない」

「え?!どうしてですか?」