カフェには黒豹と王子様がいます

 まあでも、このかっこでミスるのはホントにカッコ悪いと思った私は、慎重に行動した。お客さんが帰った後のテーブルも、なるべく音をたてないように片付けた。

「やっぱり形から入るって大事だよね~」

 慎重に行動している私が女らしく見えたようで、マスターはすごくうれしそうだった。

 そんなこんなで、バイトの日々は何日か続いた。

 ある日、お客さんが途切れ、小野田先輩は洗い場に行き、徳永先輩と私は少し手が空いた。

「どう?ちょっとは慣れてきた?」

 相変わらずの王子スマイルで、優しく微笑む徳永先輩。小野田先輩とは大違い。

「覚えないといけないことは、覚えたつもりです」

「あとは応用だね。いろんなお客さんが来るから、お客さんによって接客の仕方を変えられるといいよね」

「え?お客さんによって接客の仕方を変えるんですか?」