少し濃いめのダージリンの層とショコラクリームの層、そして薄く乗ったバニラの層がうまくマッチしている。底の砕いたクッキーにブランデーがしみこませてあり、香りが口の中に広がる。

マスターのケーキを食べているときは、頭の中が空っぽになる。頭の中がすべて、この目の前のケーキの事でいっぱいになる。

「落ち着いた?」

「あ、はい」

「面白いわね、あんた」

「なにがですか?」

「自覚しちゃったんでしょ?自分が小野田くんも徳永くんも、好きだってこと」

 コーヒーを吹いてしまった。

「ご、ごめんなさい」

 爆笑の竹本さん。

「今まで自分の気持ちに気づいてなかった方が、どうかしてると思うけどね」

 人事だと思って~。