みんなの冷蔵庫(仮)1

いくつなのかも、フルネームも、何も知らない。

何時間か前に会ったばかりのこの人に、恋をし始めているかもしれない。

どんな人なのかも、何も知らないというのに。


彼の薬指にはめられたリングの、冷たい感触を全て吸収するかのように、体中の全ての意識が熱くなった右手に集中していた。

そして、ずっとこうしていたい、と心から願っていたのに、あっという間にマンションに着いてしまった。