いつかウェディングベル


いつものように保育施設へと芳樹を預けると私は職場へと向かった。


職場の朝は実にのんびりとした雰囲気の中スタートする。


「おはよう」


「おはようございます」


朝の挨拶があちこちで交わされる。


私もいつものように元気よく挨拶を交わす。


「田中さん、今日は何だか嬉しそうね。良い事でもあったの?」


「蟹江さん、おはようございます! 実は、これなんですけど。」


昨夜、透と甘い時間を過ごした後に今日皆に手伝って貰いたい新企画の資料を作成していた。


だから、夜遅くまで起きていて今朝は寝坊したのだけど。


この案は透にはまだ内緒。


「是非この企画をこれでやってみたいんです!せっかくならば、社員全員参加で市場へ売り込みに出ませんか?」


作って来た資料を蟹江さんや吉富さんへと渡して見てもらう。


一応私の提案に透の許可は貰っているのだから絶対にこれを通すつもり。


「え? でも、そんなことって」


蟹江さんはかなり動揺している。


「面白そうだね。俺は田中さんの味方だからね! 絶対に一緒にやり遂げようね!」


「ありがとう、江崎さん。それで、吉富さんどうですか?」


「面白そうだけど、田中はこの企画から外されたんだぞ。」


確かにあの時私は蟹江さんと交代させられた。


でも、正確には外されたのではないのだから。


透が私の顔を見たくないと独断で外しただけ。それも一時的に。


そうよね? だから、透は私の意見を聞きたがったし任せると言ったわよね?


「それなら心配には及びませんよ。
一時黙って大人しくするように言われただけです。今回は許可を貰っていますから。」


吉富さんと蟹江さんはお互いの顔を見合わせた。