商品管理部門は今日も私の騒ぎで仕事どころではないようだ。
人騒がせな社員だとみんな迷惑していることだろう。
「昨日も、キレてあのまま帰ったんですよ。」
蟹江さんは大きくため息をついて呆れながら言う。
すると吉富さんは眉間にしわを寄せていた。
「交代させられたのが悔しかったんでしょう。」
「困ったものだ」
透も吉富さん同様に眉間にしわを寄せて呆れ果てた顔をしていた。
「それで、専務、ご用件は何だったんでしょうか?」
部長は専務の機嫌取りに必死のようだ。
「ああ、企画会議のことだ。明日、午後から時間を空けておくから企画書のやり直しだ。
吉富君、蟹江君、明日いいかな?」
「はい」
「わかりました」
蟹江さんも吉富さんも仕事モードの表情へと変わる。
「詳しい時間と場所は明日連絡する」
それだけ言うと透は商品管理部門から出て行った。
透がいなくなると野次馬根性で現れた女性社員もいなくなる。
蟹江さんも吉富さんも翌日の企画会議に向かって事前打ち合わせをしようと話し合っていた。
二人の間ではすでに仕事モードに入っている。
そこへ、
私の後をつけていた坂田さんが戻ってきた。
「部長!! やっぱり田中さん帰っちゃいましたよ!」
「彼女辞める気だわ」
「シングルマザーじゃ他で雇ってくれるところはないぞ」
蟹江さんも吉富さんも私のことを心配してくれているようだ。
小さな子どもを抱えているのだから。
きっと、男に捨てられ職場を追われ私が哀れに見えるのだろう。
吉富さんは拳を握りしめ手が少し震えている。自分では力になりたくてもなれないのだろうかと悩んでいた。
そんな真面目に悩んでいる吉富さんの気持ちも知らずに江崎さんが相も変わらず楽天的な発言をする。
「だから、俺がさ、田中さん親子を養ってやるって♪」



