加奈子の父親の交通事故の話しから意識を取り戻したことまで包み隠さず全て話をした。
加奈子は自分の所為で父親が交通事故に遭ったのだと涙を流していた。
何もかも俺が悪いのだから加奈子は自分を責めて欲しくなかった。
「悪いのは皆俺なんだ。加奈子は何も悪くない。加奈子のお義父さんが事故に遭ったのも、これまで意識が戻らなかったのも皆俺が悪かったからなんだ。すまなかった、加奈子。許してほしい。」
加奈子を抱きしめ頭をしっかり撫でていた。
少しでも加奈子の高ぶった気持ちが収まればと加奈子を抱きしめていた。
加奈子は涙が止まらずに少し興奮気味だった。
「今から会いに行きたい! お父さんとお母さんに会いたい!!」
「分かった。会いたいのは十分分かっている。でも、今から病院へ行っても面会時間は過ぎていて会うことは出来ないんだ。だから、明日会いに行こう。」
「明日?」
「そう、明日だ。それにお義父さんはとても元気なんだよ。俺はしっかり文句言われたよ。加奈子は嫁として恥ずかしいのかって。だから、言ってやったさ。素晴らしい妻だってね。」
「透!」
長い間、勘当されていたものだと思っていた加奈子は事実を知り気が動転していたが、父親が元気だと分かると少しは落ち着きを取り戻していった。
混乱した加奈子に俺は罵られるものだと思っていたけれど、そんな素振りは全くなかったことに俺は加奈子にも感謝していた。
俺は多くの人を傷つけ悲しませてきたこの罪をどう償えばいいのか悩んでいたが、改めて償うのではなく皆がみんな幸せな未来へ向かって行けることへの手助けをするのが俺の役目だと思う様になった。
「加奈子、今夜はぐっすり眠って明日芳樹を連れてお義父さんとお義母さんのところへ行こう。」
俺の言葉に加奈子は心を落ち着かせて眠ってくれた。
それでも眠る加奈子の目からは涙が流れ落ちていた。
そんな加奈子を抱きしめながらベッドに横になっていたが、俺は眠りにつくことが出来ずにその夜は遅くまで加奈子の顔を見つめていた。



