いつかウェディングベル

俺は自宅へ帰ると直ぐ様お袋に詰めより加奈子の父親の病院へ行ったことを問い質した。



お袋は何もかも話してくれたが、俺にはどうしても解せなかった。


親父は、俺が婚約を破棄した時点で俺に女の影を感じて、探偵を雇い探りに入っていたと聞かされた。


俺の行動から加奈子の存在を知られ、加奈子がシングルマザーと分かり、その子の素性を知る必要が出て何もかもが親父に知られてしまっていたのだ。


俺達が復縁するよりかなり前に加奈子の実家の調査も済み、加奈子へしたことへの謝罪と生活支援を申し出たと言うことだった。


しかし、事故は俺達とのことに関係していないと、生活支援は断られていた。


だけど、親父は病院側へ加奈子の父親の治療費を支払い続けていると聞かされた。


ここまで加奈子の家族への手厚い支援が出来るなら、何故俺が婚約を受け入れられないと最初に話したとき親身になって俺の話を聞いてくれなかったんだ。


今更こんなことされても、真実を知れば加奈子は自分のしたことで父親をあんな姿にしたと嘆き悲しむだろう。


また俺は加奈子に恨まれてしまう。


もう二度と加奈子を手放したくないのに、今度こそ加奈子は俺を許さないかも知れない。


それでも、真実は知るべきだし、一刻も早く義母に加奈子と会わせてやりたい！



「今の企画を手掛けている加奈子さんには気持ちの余裕がないでしょう？だから、もう暫く黙っていようと思ったのよ。」



「こちらの都合ばかりおしつけて、加奈子や加奈子の母親の気持ちを考えたことはないのですか？！」



「ありますよ。私だって人の親ですからね。母親は何時だって子供のことばかり考えているわ。我が子が幸せならそれで良いのよ。」


だからと加奈子に秘密にするのは筋違いだろう。


加奈子の母親は加奈子に会いたいはずだ。


今すぐにでも会いたいはずなのに、加奈子の母親は今すぐに会いたいとも加奈子を連れてこいと催促されたわけでもなかった。


何故そんなことが出来るんだ？