何も言えなくなった俺は暫く無言のままでいると、加奈子の母は俺にペットボトルのお茶を手渡した。
「有り難うございます。でも、これはお義母さんが飲んでください。」
「主人が事故に遭ったのはあなたとは関係ないことですから、この事で気に病む必要はありません。」
俺が引き起こした事故で無いにしろ加奈子を俺が捨てなければ、加奈子は家を出なかったし、父親も探しに出ることもなかった。
そうすればこんな結果にならなかったのに。
渡されたお茶のペットボトルを握り締めていた俺は加奈子と芳樹を連れてくるべきだったと思った。
どんなに俺が謝罪しても受け入れて貰える筈はない。
加奈子の母だって俺の顔を見るより加奈子に会いたいだろうし芳樹を見たいだろう。
やはり加奈子に真実を話すべきだった。
「加奈子さんと籍を入れて今一緒に暮らしています。あの、良かったら息子の芳樹に会って貰えませんか?」
加奈子の母は俺の言葉を聞くと驚いているのかそうじゃないのか、どう受け取っているのか無表情な様子に俺の方が戸惑いを隠せなかった。
義母はため息をつくと俺の顔を見てゆっくり口を開いた。
「知っています。加奈子が幸せならそれでいいです。」
ああ、そう言えば親父とお袋が俺に内緒で来ていたんだ。
その時にでも話したのだろう。
「加奈子はお義父さんのことは話していないので知りません。加奈子を動揺させたくなくて今日は私一人で来ましたが、今度は一緒に来たいと思います。」
「私よりお父さんに会わせてやってください。そしたら、もしかしたら目を覚ますかも知れないですから。少しの刺激でも大事らしいですから。」
「はい、是非とも。」
義母は娘に会えない寂しさの中で、一人この過酷で辛い生活を余儀なくされ、正常な精神を保てていることが不思議なくらいだ。
義母といい娘の加奈子といい、どうして罪のない二人がこんな苦労を強いられなければならないんだ。
その間、俺はのうのうと生活していた。婚約者の不満をぶちまけながら生活していたなんて俺は何て最低な人間だったのだろう。
「有り難うございます。でも、これはお義母さんが飲んでください。」
「主人が事故に遭ったのはあなたとは関係ないことですから、この事で気に病む必要はありません。」
俺が引き起こした事故で無いにしろ加奈子を俺が捨てなければ、加奈子は家を出なかったし、父親も探しに出ることもなかった。
そうすればこんな結果にならなかったのに。
渡されたお茶のペットボトルを握り締めていた俺は加奈子と芳樹を連れてくるべきだったと思った。
どんなに俺が謝罪しても受け入れて貰える筈はない。
加奈子の母だって俺の顔を見るより加奈子に会いたいだろうし芳樹を見たいだろう。
やはり加奈子に真実を話すべきだった。
「加奈子さんと籍を入れて今一緒に暮らしています。あの、良かったら息子の芳樹に会って貰えませんか?」
加奈子の母は俺の言葉を聞くと驚いているのかそうじゃないのか、どう受け取っているのか無表情な様子に俺の方が戸惑いを隠せなかった。
義母はため息をつくと俺の顔を見てゆっくり口を開いた。
「知っています。加奈子が幸せならそれでいいです。」
ああ、そう言えば親父とお袋が俺に内緒で来ていたんだ。
その時にでも話したのだろう。
「加奈子はお義父さんのことは話していないので知りません。加奈子を動揺させたくなくて今日は私一人で来ましたが、今度は一緒に来たいと思います。」
「私よりお父さんに会わせてやってください。そしたら、もしかしたら目を覚ますかも知れないですから。少しの刺激でも大事らしいですから。」
「はい、是非とも。」
義母は娘に会えない寂しさの中で、一人この過酷で辛い生活を余儀なくされ、正常な精神を保てていることが不思議なくらいだ。
義母といい娘の加奈子といい、どうして罪のない二人がこんな苦労を強いられなければならないんだ。
その間、俺はのうのうと生活していた。婚約者の不満をぶちまけながら生活していたなんて俺は何て最低な人間だったのだろう。



