いつかウェディングベル


お袋や親父は俺達のことを何かと心配し手助けしてくれる。


きっと、加奈子の両親も同じではなかろうかと俺はそう思っている。


捨てられた男の子供を産んで育てても加奈子は幸せになれないと思った両親ならではの愛情から、加奈子の出産に反対し勘当するとまで言ったのだろう。



実の娘を相手に本気で勘当にしたのではないと俺は思っている。


事実、一度は理由があるとは言え加奈子を捨てた。芳樹がお腹の中にいるとも知らずに加奈子を苦しめ悲しませたことを詫びたい。



「透、加奈子さんのご両親について調べさせたその報告書がきている。」



「報告書?」



「書斎へ行こう。折角眠っている芳樹の睡眠の邪魔をしたくない。」



親父は加奈子と縁を切った両親を調べさせていた。


まさか、探偵を雇っていたとは信じられなかった。


加奈子を信用していないから調べたのか、俺はかなり神経が高ぶって落ち着かなかった。



「何故調べたんですか? 加奈子に疑惑でもあると言うんですか?」



「親が簡単に自分の娘を勘当するわけがないだろう。けれど、男に捨てられた哀れな娘には幸せになってもらいたくて、勘当の話を持ち出して堕胎させようとしたんだ。」



詳しい調査報告書を読めと渡された冊子を読んで俺は体が震えた。



加奈子の両親は加奈子を見捨てた訳ではなかった。



子供を堕胎させようと加奈子を説得するつもりが言い争いになってしまった。そして、出産後に加奈子との連絡が取れなくなったというものだ。



加奈子は産後に誰も頼ることなく一人で芳樹を育てたんだ。


そして、運良く採用された今の会社で皆に支えられたから芳樹を育てながら働くことが出来たんだ。



「相当苦労したんだろうな、加奈子さんは。我が社に採用されたのも縁があったんだな。運命なのかもしれないな。」



話しには聞いていたが報告書は余りにも生々しくて全てに目を通せずにいた。