いつかウェディングベル


「今日は疲れただろう。このまま帰ってもいいが会場へ戻るかい?」


初めてのパーティーに相当な疲れが出たようで、加奈子の顔色は良くなく疲労感でいっぱいだった。


パーティー会場へ戻るのは無理だと判断した俺は主催者側への挨拶と団体への寄附を約束し会場を後にした。


知人の社長らには後日改めて披露する機会を設けるからと説明しておいた。


帰りの車の中ではいつの間にか眠ってしまった加奈子は俺に寄りかかっていた。


ほんの僅な時間だったのに、加奈子はまるで数日も閉じ込められて苦痛を味あわされたような顔をしていた。


いきなりのパーティーだったことに加奈子には申し訳ないと心の中で何度も謝った。



自宅へ着くと加奈子を抱きかかえ玄関へと入ると加奈子を見た家政婦の増田が大騒ぎし、その声に驚いたお袋と親父も玄関へと駆け付けた。



「加奈子さんはどうしたの?!」


「具合が良くないのか?!」


「坊っちゃん!! 先ずは寝かせてあげましょう!」



みんな、加奈子がまた倒れたのかとかなり心配していた。


しかし、必要以上に騒ぐと芳樹まで起きてしまう。この時間ならば既にベッドの中で心地よく眠っている頃だ。



「加奈子は疲れて眠っているだけだ。取りあえず客間のベッドへ運びたいけど使えるかな?」


「大丈夫ですよ。坊ちゃん、早く寝かして差し上げなさいな。」



増田が急いで客間のドアを開けると、いそいそとベッドへ駆け寄り掛け布団を豪快に引っ剥がした。



「さあさあ、加奈子さんをここへ!」



ドレス姿のまま寝かせると増田は加奈子のパンプスを脱がせドレスのファスナーを下ろした。



「ドレスのままですと苦しいでしょうから、坊ちゃんは加奈子さんの寝間着を持ってきて下さい。」



俺は増田に言われるまま寝室へ戻り加奈子が眠る時に着る寝間着などを探した。


しかし、色気のないパジャマが多くて一瞬どれを着せようかと悩んでしまった。


が、よく考えたら着心地の良いものであれば色気などは関係ないのだからと、取りあえず地味なのから選んで客間へと急いだ。