いつかウェディングベル


会場入りした頃になると加奈子の緊張もかなり収まり落ち着いてきた。


ドレスアップした加奈子は俺の妻とは思えないほどに素敵なレディとして俺の隣にいる。


何時もは同伴者はなく一人で行くことの多かった俺の隣に加奈子がいることでかなり周囲の視線を浴びていた。


若手社長らは俺との親交のある者が多く、加奈子の姿を見ると直ぐ様挨拶にと俺の回りに集まった。


「柿崎、久しぶりだな。」


「やあ、随分ご無沙汰してしまったね。元気そうでなにより。」


「そちらこそ、かなり元気そうだね。彼女で忙しかったのかな?」



誰もが加奈子の存在を気にしているのだろう。


加奈子の話題になると聞き耳をたてている者が多いのに気付く。



「彼女は俺の妻で柿崎加奈子だ。よろしく頼むよ。」



加奈子を紹介すると初々しい新妻と言わんばかりの会釈をする加奈子に、紹介を受けた社長連中は心を奪われたかのように見いっていた。


「いったい何時結婚したんだ?!こんな可愛い奥さんを何処で見つけたんだい?」


結婚の話題に面識のある若手社長らは次々と俺達の回りに集まり騒然となる。


「俺達に息子もいるんだよ。とても可愛くてね。是非紹介したいと思っているよ。」


俺の結婚や息子の話しに慈善事業団体のパーティーなのにいつの間にか俺達の独擅場となっていた。


主催者に迷惑をかけたくなく、俺と加奈子は主催者へと挨拶に行くと事情を説明し一旦控え室に下がらせて貰うことにした。


折角の新社長挨拶と寄附金集めの為の事業説明の邪魔をしたくなかった。


新社長は俺達を快く控え室に案内すると、おめでたいことだからと気にせずにパーティーには参加して欲しいと有り難い言葉を頂いた。



「どうやら、俺達の結婚の報告と後継者となる芳樹のお披露目が必要のようだね。」



加奈子は複雑な表情をしたもののパーティー会場での様子を思い出したのか頷いていた。