いつかウェディングベル

蟹江はニッコリと微笑むとしっかり腕を組んでいた。


俺はまるで弱味を握られ形勢逆転したセクハラ上司のようだ。


「専務、情報の出所はどこですか?彼女は私の大事な後輩です。いい加減な情報で彼女を傷つけるようなことがあれば専務とはいえ許しませんよ?」


と言う彼女は怒りではなく微笑みを見せている。明らかに疑っているのに違いがないが、この女は俺の苦手な類いの女だと今になって気づかされたが、どうやら気づくのが遅すぎたようだ。


「情報の出所もなにも本人から聞いた。」



そう言うしかないだろう。俺は加奈子から物を投げつけられても、俺は加奈子に手をあげることはしない。


加奈子を傷つけるなんてとんでもないことだ。俺は加奈子を守ってやりたくても傷つけたいなどとは微塵も思っていない。



「それは変ですね?田中さんはDVを受けたと話していたはずですが。」



「だから、それが間違いなんだ。ああ、もうその件を君と言い合うつもりはない。とにかく、写真の件と田中を早めに退社させればそれで十分だ。頼んだぞ。」



「専務の指示であればそうします。」



蟹江は何を感じ取ったのかかなり疑り深い目で俺を見ていた。



まるで女版吉富のようで気分が悪い。



蟹江が退室すると俺専用の秘書を専務室へと呼んだ。



加奈子が時間通りに退社するかどうか確認するように秘書に指示した。


そして、万が一、加奈子が仕事中のときは退社準備をさせて俺の部屋へ連れて来るようにと。


きっと、そこまでしなければ加奈子のことだ仕事を優先させる可能性が高い。


今回の企画の事になるとどうも俺に反発的だ。


企画の出だしが出だしなだけに仕方ないが。


こうなると親父とも話し合って加奈子の待遇を早く決めた方が良さそうだ。