いつかウェディングベル

昼休みを終えると加奈子は自分の持ち場へと戻った。


何時も一緒に食事をとる蟹江らと別行動した上に、専務の部屋へ呼ばれたことで蟹江らは俺と加奈子の関係を疑っていたようだ。


しかし、蟹江は出来た社員でプライベートに関してはいっさい口を挟もうとはしない。


多分、俺達の結婚を話しても驚きはしても他言することはないだろう。


蟹江が何処まで信用できる社員か確かめたくなった。



「蟹江君、手が空いたら専務室まで来てくれ。君に話がある。」



加奈子だけでなく、他の社員も用があれば専務室へ来るよう指示をすると言うイメージを持たせる必要があると考えた俺は蟹江を専務室へ呼び出した。


蟹江は何の疑いもなく作業に取りかかろうとした手を止めた。


「坂田さんと田中さんで作業の続きをお願いね。それから、撮影候補を票数から3人に絞ってね。それからトップページについては、」


「蟹江君、トップページの撮影候補については君に相談がある。先ずは私の部屋へ。」


「分かりました。」


下手に撮影候補を決められると後に引けなくなる。まだ、今は保留のままでいい。


意味深な物言いでその場を離れようとすると、先程までの加奈子に向けられた異様な目が蟹江へと変わっていく。


しばらくはこれでいい。


吉富がどんな行動に出るのか、この企画が終わらない間はこの状態を続けられるが企画が終了次第、きっと、吉富は何らかの行動に出るはずだ。


専務室へ戻ると蟹江が直ぐにやって来た。なぜ呼ばれたのか疑問に感じるところだろう。



「さっき話したが、トップページの撮影に関しては少し待って欲しい。」


「ですが、候補を決め相手の了承を得なければいけませんし、専務との撮影に日程調整が必要かと思いますが。」


「実はねその撮影では私に考えがあるんだよ。まだ、それは誰にも言えないのだが。」


「どなたかトップページを飾りたい人がいるのですか?」


蟹江はなかなかに勘も働く女のようだ。