いつかウェディングベル

パーティーへの出席となると女は時間がかかるし、特に加奈子はこんなパーティーの経験がないから準備にはもっと時間が必要だろうし心の準備も要るだろう。



そうなると、終業時間前に会社を出てもらわなければならないが、加奈子がそれに納得することか?



「この後俺の部屋に来てくれ。大事な話がある。」


「ここでは話せないの?」


「俺は話しても構わないが君が嫌だろうと思ってね。」


俺の言葉に加奈子は表情を曇らせた。俺が加奈子の嫌がる話を持ってきたのかと疑っているのだろう。


加奈子は会社で働いている時間は元のシングルマザーに戻ってしまうようだ。


俺との生活が嘘のように感じてしまう。


これもみな俺達の関係を公表せず加奈子が女手一つで息子を育てていると他の社員が思っているからだ。


今の環境が今の加奈子を作り上げているんだ。


その日の昼食を俺の部屋でとることにし部屋に簡単な食事を運ばせた。


加奈子には昼食を一緒に取りながら話をすると言い、今夜のパーティーについて説明した。


パーティーの同伴には多少の戸惑いはあったようだが、今後俺の妻としてこのようなことはちょくちょく起こる。



加奈子には少しずつ慣れてもらうしかない。


「分かったわ。透と結婚したのだからこれからはそう言うこともあるのよね? そうなると、会社を早退になるけど言い訳が必要ね。」


「だから加奈子の配置換えが必要なんだよ。」



これまでは俺の一方的な命令と勘違いしてたようで、加奈子は俺の説明に逐一頷いていた。



「透の言い分に一理あるわね。でも、企画が終わるまでは待ってて欲しいの。」


「ああ、君はこの企画を成功させたいんだからね。」


「そうよ、それに、透の鼻をへし折るために考えた企画でもあったのだから。」



そんなことを嬉しそうに言われると、俺としても加奈子を自由にさせたくなる。


だけど、俺達の未来には俺達が望まないことも数多く起きることは否めない。


そんな時、俺達は支えあい協力しあえる夫婦でいたい。