いつかウェディングベル

その日は加奈子と二人で作業に時間をとられたが、Web担当者との綿密な打ち合わせもでき何とか目処が立つと遅れを取り戻すことが出来そうだ。


Web担当者には今後定期的に進行具合を加奈子へ報告するよう指示した。


この後の作業は吉富らに任せ、俺と加奈子はWebページに掲載するツーショット写真の候補について話し合うことにしたが、


まだ撮影取りまでに時間があることを良いことに俺はその件については保留にさせた。


すんなりと俺の写真を使わせるものかと最後まで抵抗するつもりでいる。


そんな悪あがきをする俺を見て加奈子は未だに面白がっているように見える。


そうなると俺も加奈子へのイタズラ心が出てしまいそうになる。



「なあ、君はこの企画の発案者なんだ。社長も君にはそれなりのことをしてあげたいようだ。なら、今後のこともあるしいっそ俺達でWebページを飾らないか?」



周りの社員に聞こえない様に俺は加奈子に顔を近づけると囁くように言ってみた。


俺の囁きと思える声と微かに届く吐息に加奈子は耳を押さえながらいきなり椅子から立ち上がった。


職場でのことに加奈子はかなり動揺したようで顔を真っ赤にして俺を見ていた。


俺はにっこり微笑むと「座れ」と言わんばかりにテーブルを指先で軽く叩いた。



そんな俺達の様子に周囲の社員たちの視線を浴びるとその視線に気付いた加奈子は慌てて座った。




「変な事言わないで。それに、ここは職場よ。会社なのよ。変な事しないで。」



俺が加奈子の耳めがけて軽く吹いた息が加奈子にはかなり官能的な行為だったらしい。


目が虚ろで頬は赤く染まり耳までもが赤くなっていた。


まるで初々しい頃の加奈子を見ているようで俺はそんな加奈子に益々意地悪したくなった。




「俺達の仲睦まじい姿をお披露目するのもいいだろうね。次期社長とその夫人だ。君も得意先や社交界では花形になってもらいたいから丁度いいチャンスかもしれないよ? 君の魅力的なドレス姿を掲載したくなったよ。さぞかし官能的な君に男達は見惚れるだろうね。」



なんて意地悪を言ってみると加奈子の顔がみるみる青ざめていき、俺の顔にまた書類の紙吹雪が飛んできた。