いつかウェディングベル

俺と加奈子の二人で商品管理部門のフロアへと戻ると一斉に他の社員らの目を集めてしまった。


蟹江は無表情のままだが、坂田は何故か顔を赤くして舞い上がった様子に蟹江が落ち着く様にと叱りつけていた。


江崎と岩下は特には反応はなくただ作業中に誰かがやって来たという顔をしていた。


部長や課長らは少々オドオドした様子だが、この二人は自分らの待遇が変わるのではないかと不安になっているのが良く顔に出ている。


そんな中、一人だけ俺に今にも食いつきそうな顔をしている吉富が目に入る。


作業に取り掛かっている様子はなくただただ加奈子が戻るのを待っていたと言わんばかりの表情だ。


今にも俺に何か言いたそうな様子だが、そんな吉富を見ると加奈子を手に入れることが出来ない哀れな奴に見えてフッと笑ってしまった。


吉富に失礼なことをしたと思いながらも恋敵の俺としては加奈子が誰のものかをハッキリさせるのに丁度良いと思えた。



すると、吉富は俺に対抗してか俺を鋭い目で見ると加奈子に視線を送った。



「田中、Web担当者との打ち合わせをする前にその準備をこれからする。」



「吉富、それは私と田中でこれから行う。君には他の作業を任せる。それから商品の在庫と最終的な数値の確認は済んでいるのか? 見込み数を商品ごとに出してくれ。」



「ですが、もともとこれは田中の企画でしてWeb作業も田中が担当者と」


「この企画は今は吉富君に任せているではないか。君が責任者となってこの企画を成功させる為に全力を尽くすのが本当だろう?」


「ですから、元々の担当だった田中が私と一緒に作業をするのが当然かと。彼女の発案でもあるのですから。」



どうしても吉富は加奈子を自分のそばに置いておきたいようだ。


だからこそ吉富と一緒に作業はさせられないし俺の監視も必要になってくる。


だからと何時までも加奈子の傍で監視をしているわけにもいかない。