いつかウェディングベル


会議を終え皆で片付けを始めるが加奈子は浮かない顔をしていた。


「それにしても今日の江崎さん別人みたいでしたね。蟹江さん、知ってました?」


「私も初めて見るわ。驚いてしまって。何と言っていいのか困ってしまうわ。」


蟹江も坂田も会議が終わった後も江崎の話で困惑していた。


だが吉富だけは江崎の存在が疎ましく感じたようで顔色は冴えなかった。


「ね、大事な時なんだから女に構ってる暇はないでしょ?」


会議室を出た吉富を待ち伏せするかのように江崎が待っていた。


そんな江崎を見ても吉富は無視を続けた。



「田中さんは端っから吉富さんを相手にしていなかったんだよ。まだそれでも付きまとうの?」


「田中を支えてきたのは俺だ。お前に、」


「意地だよ。芳樹君の父親に対する意地が彼女の支えなんだよ。そして、今は専務がその役割を果たしていると思わない?」


吉富は専務という言葉にかなり敏感に反応していた。


そんな吉富を見て江崎はクスクスと笑っていた。


片付けを終えた蟹江ら女性達が会議室を出てくると吉富は逃げるかのようにその場を離れた。



二人の異様な雰囲気に蟹江達も何かを感じ取っていたようだ。




「蟹江さん、江崎さんって田中さんを狙ってるんですよね?まさか三角関係じゃ。」



「坂田さん、プライベートなことは口を挟まないの。私達には関係ないことよ。」


「でも、気になりません?優秀な吉富さん相手に江崎さんがまともに振る舞っているんですよ?」



江崎もかなりの言われようだが、これまでの態度を考えれば当然だろう。


それより、加奈子の元気のなさが気になる。



「田中、ちょっと残ってくれ。」


「はい。皆先に戻っていて。」



皆と一緒にデスクに戻ろうとした加奈子を引き留めた。


加奈子の機嫌取りをするつもりはないが、完全に企画担当から外した加奈子の落ち込みを慰めてやりたかった。