いつかウェディングベル

「本支店の社員とその家族の協力でかなり興味を持つ結果を得られました。デザイナーを前面に押し出してセレブ感を漂わせるコーナーを追加してはどうでしょう?」


日頃能天気振りを発揮している江崎が珍しくまともな発言をすると一同が江崎を凝視していた。


「ランキングの上位に上がっている洋服のデザイナーはもともと当社との専属契約をした人達でしょ?これを機にもっと女性らしいセレブ感を味わえるものを作らせてはどうでしょう?次の企画に繋がると思いませんか?」


江崎にしては随分と大胆な発言だが、加奈子を意識して仕事に支障を来す吉富よりは面白い存在かも知れない。



「江崎の意見は面白い。ただ、現時点ではまだそこまでは煮詰められないしデザイナーの協力と理解が必要だ。だが、それを意識した売り場作りをするのは面白そうだ。」


「専務、現在Webサイトの試作品がまだ出来ていませんが、このようなレイアウトを検討しています。」



吉富は遅れた部分の資料を手書きし午後の会議に間に合わせてきた。


それに関しては流石と言いたいが、打ち合わせを進めるに従って見直す部分が目についてきた。


予定していた期日までに問題なく間に合えば良いのだが。


「蟹江さん、それより今はリアルタイムで注文したい商品の在庫と発送日を分かるような画面作りにしなければ。そんな重要な部分が欠けているようじゃ売上激減するよ。常識だよ?」



「勿論、ページに必要なものです。ただ、確認画面が従来のものでは操作が面倒なのでもっと分かりやすく変更するべきです。」


今回の会議では面白いものを見れたと俺なりの収穫はあった。


もともと、俺の中では出来上がっていた企画だし、加奈子の考えそうなことも予測はついていた。


俺が外したのはアンケート結果であって、最終的な流れは頭の中で作り上げてきた。



「と言うことで、現時点で見直す箇所としては以上の通りだ。あとは遅れているサイト作りを期日までに完成させること。新企画専用ページを特設するのだからサイトの隅々まで確認を怠らないように。以上で終わる。」




何とか予定通りに会議を終えたが、今回の企画発案者である加奈子の意見を発言する機会を殆んど与えなかったことに加奈子はかなり沈んだ様子だった。