三人でテーブルを囲んで一緒に食べるグラタンがいつも以上に美味しく感じられた。
こんなに美味しいと思える食事をしたのは何時振りだろうか?
両親が揃っているだけで芳樹の笑顔が一段と輝いている。
そして、私も透との時間がとても居心地が良くなっている。
透もまるで私だけを愛してくれているかのように錯覚してしまいそうになる。
三人の食事がこれ程まで心を満たしてくれるとは思わなかった。
そんな食事の時間が終わると後片付けも透がやってくれた。
慣れない手つきでお皿を洗っている。
それにしても、グラタン皿の無い家もあるのだわと思ってしまった。
自炊しない人の食器棚にそんなお皿があるわけないんだわ。
でも、カレー皿は置いていたのね。
少し深めで小さめのカレー皿をグラタン皿の代わりにするなんて、こんな面白い食事をしたのは初めてだわ。
「ママ、ねむい。」
「今日、お昼寝はしたの?」
「ううん」
きっと、パパと一日中一緒にいられて嬉しくて昼寝をしていないんだわ。
私は芳樹を抱きしめると和室へと連れて行った。
そこで一緒に布団に横になり芳樹が眠る顔を眺めていた。
台所から聞こえるお皿を洗う音が幸せを運ぶ音のように聞こえる。
そして、可愛い息子が眠るその姿は天使そのもの。
こんなに今の私は幸せで良いのかと思いたくなるほどに満たされている。
だけど、こんな時間ももうすぐ終わる。
私はシンデレラではないのだから。
魔法の杖もかぼちゃの馬車もガラスの靴も何も持っていないのだから。
「芳樹は眠ったのかい?」
「ええ、眠ったわ。嬉しそうな顔をしているわ。きっと今日一日楽しかったのね。」
「一緒にいろんなことをして遊んだからね。」
きっと二人で盛り上がって遊んだのね。
「加奈子、少しいいか?」
「ええ」
これから、透と話し合いをする。



