「話なら今して。私、夕食食べたらアパートへ帰ろうと思っているの。」
意外な言葉を聞かされたのか、透は体が固まって動けなくなっているようだ。
あくまでも冷静でいようとする透の落ち着かない態度に私は何やら罪悪感で心が乱れてしまう。
「やっぱり、芳樹が眠った後ゆっくり話し合いたい。どうしても今日話し合う必要があるんだ。」
今日、話し合う必要がある?
どうして急にそんなことを?
まさか・・・・
吉富さんが絡んでいるんじゃ?
吉富さんは私が元カレに強引に連れて行かれたと思っているんだわ。
『もしかして無理やり連れていかれたのか?! 芳樹君の父親って最低なDV男じゃなかったのか?
そのこと専務にも知らせたのか?!』
そんなことを言っていたわ。本当に透に知らせたの?
吉富さんがそんなことする人だとは思っていないけど、万が一、吉富さん絡みだと言うのであれば、親切の押し売りどころかストーカーの一歩手前の行為だわ。
私は吉富さんの行動を望んではいないのだから!
「思い当たる節があるようだな。加奈子にも電話が入ったのだろう?」
やっぱり吉富さんのことだ。
そう考えると芳樹が眠った後の方が時間をかけて説明が出来る。
私は吉富さんとは何の関係もないし、今後も関係を持つつもりもない。
それは透、あなたも全く同じなのよ。
どんなに思いあってもヨリを戻しても、あなたとは住む世界が違うと分かったのだから。
きっと、あなたのお父さんが、また、あなたに相応しい女性を婚約者として連れてくるのよ。
同じことの繰り返しはもう嫌なのよ。
結局、辛い思いをさせられるのだから。



