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そろそろ2限が始まるだろう。

そんな頃。

不意に屋上の重い扉が開く音がした。

こんな時間にここへ来るヤツは、
誰だかわかりきっている。


「まーたここにいる!」

「うるせーな。」


俺より少し暗めの茶髪で、顔の整ったこいつは、
親友のひとり「夏希(ナツキ)」だ。

成績は良いらしいが、
彼も俺と同じく授業をさぼりにくる。

適当に隣に寝転がった夏希は、
大きく伸びをした。


「翔はここが好きだねー。」

「好きってか、ここしかねーし。」

「担任が探してた。だから、屋上にいますって。」

「はぁ!?言ったのか!?」

「うそ。」

「なんだよ…。」


夏希は昔からこうだ。
毎日をエイプリルフールと勘違いしている。

冗談がいきすぎて、
過去に何度か喧嘩したこともある。

そして何より、
三人の中で一番テンションが高い。


「お前、成績いいんだろ?」

「そうでもないよ。英語だけ。」

「うわ、すげー…。」

「英語以外は全然駄目だけどなー。」


ピアスだってしてるし、
髪の毛も頻繁に染めてんのに。

いつの間にか差をつけられて。

小学生の時は俺の方が優秀だった。
今は色々あって勉強が大嫌いだ。

言い訳なんだろうけど…。


そんな俺の表情で、何かを察したのか、
夏希がおもむろに課題を取り出す。



「夏希先生が教えてあげよう!」

「えぇ……。」

「まずは数学から始める!」

「まじか…。」



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