さぁ、オレと恋をしてみようか

ふい、と剛史さんを見ると「オレ?」と、自分で指を差した。


「あー。オレもその時、〝美和子を意識した〟って言いたいとこだけど、全然気にもしてなかったんだよねぇ…って、痛っ!なんだよ、昔の話だろ?殴ることないじゃん」
「わかってるよ。わかってるけど、思い出したら腹が立ったのよ」


美和子さんは剛史さんをグーパンチで腕を殴ったあと、わざとっぽく頬を膨らませた。


「じゃあ、剛史さんは美和子さんのこと、ただのクラスメイトとしてしか見てなかったんですか…?」
「あぁ、そうだね。あと、〝乳でけぇなー〟くらい?って、痛いっつーの!」


あーぁ、余計なこと言ったから、また殴られてるよ…。


わたしは千織さんにとって、どういう存在なんだろう。やっぱり、〝ただの客〟だよね。


「もう!!ごめんねぇ、芽衣子ちゃん…って、どうかした?具合でも悪くなったかな?」


俯いたわたしに、美和子さんが心配そうに、わたしの顔を覗きこんできた。


「あ、ううん…。わたし、オッパイ小さいなって…」


千織さんのことは言えないから、両手で胸を隠しながら言うと美和子さんが豪快に笑った。