さぁ、オレと恋をしてみようか

「みんなプリンに夢中で、トナリにある〝コイツ〟の存在に気付いてないんだけど、オレ的には、こっちのほうが好きなんだよねぇ」


あ。また〝オレ〟って、言った。


なんか、その使い分けするお兄さんを見て、ふ、と笑ってしまった。


「え。もしかして、ひいた…?」
「あ、ごめんなさいっ。そうじゃなくて。さっきから〝ボク〟になったり〝オレ〟になったりするから、おかしくてっ」


急にオドオドし始めたお兄さんは、わたしの言葉にホッとしたのか、あはは!と笑って見せた。


「あー、そういうこと。一応、いつもは〝オレ〟なんだけど、お客さんの前で〝オレ〟は使えないでしょ?だから〝ボク〟って言ってるんだけど、気が緩むと〝オレ〟になっちゃうんだよなぁ」


また、お兄さんは言いながら頭をポリポリとかいた。


「大丈夫です。わたしは、あまり気にしないので〝オレ〟でもいいですよ?」
「そう?なら、キミの前では普通に喋ろうかな」


あはは、と笑うその表情(かお)は、昨日の印象通り、爽やかな感じで、少しだけ胸の奥でトクンとした気がした。


「あ、じゃあ。その、お兄さんオススメの杏仁豆腐買います」
「うん、食べてみてー。一つでいい?」