さぁ、オレと恋をしてみようか

そんな時だ。いつもより早く帰宅したお父さんが、リビングへと入ってきた。


「どうしたんだ!?芽衣子、泣いてるのかっ?」


ただならぬ雰囲気に、お父さんはわたしを見るなり血相を変えて飛んできた。


正直、触れて欲しくなかったし、もっと言えば、どうして今日に限って早く帰ってきたんだ、と思った。


「賢太くん。今は触れないであげて、ね?」


いつもはペラペラ喋るお母さんも、この時ばかりは空気をよんでくれた。


なのに、空気をよめないのは、お父さんだ…。


「なにされたんだ!無理矢理、なんかされたのかっ!?だからオレは反対だったんだ!智衣が〝大丈夫だ〟って言うから〝安心できるオトコだ〟って言うから、なにも言わずにいたけど、もう我慢の限界だ!そんなヤツな、とっとと別れてしまえ!言えないなら、お父さんが言ってやる!」


お母さん…。千織さんのこと、言ってくれてたんだね…。〝安心できる人〟だって…。


「賢太くん、チガウんだってば」
「なにがチガウんだ!なにも、チガわない!こうして、芽衣子が泣いてるんだぞ!」