さぁ、オレと恋をしてみようか

玄関先で大きな声を出すと、パタパタとスリッパの音が聞こえ、ガチャリと開いたリビングのドア。


「あら、お帰り。って、千織くん!」


お母さんは千織さんの姿を見つけるとパァッと、顔が明るくなった。


娘(わたし)より彼氏を見て喜ぶのは、お母さんだけだよ…。


「すみません。5分ほど遅刻してしまって。大事な娘さんなので、時間よりも無事に帰す方を選択しちゃいました…」


そう、途中で少し車の速度が落ちた。


事故があったらしく、みんなノロノロ運転になってしまったんだ。


その時に、千織さんが言ってた。


「間に合わないかも」って。それでも千織さんの運転は、スピードを出すことなく、安全運転で家に着いた。


「ありがとう。やっぱり、千織くんには安心して芽衣子を任せられるわ」
「いえ、そんな…。でも、そう言ってもらえるのは嬉しいです。じゃあ、ボクはこれで」
「あら、お茶でも飲んでいけばいいのに」
「いえいえ、それはちゃんとお父さんにも許可をもらえてからにします」
「あー、そうね…。ごめんなさいね」
「いえ。じゃあ、芽衣子。今日は、ありがとう。オレも楽しかったよ。またいつでも、店においで」
「あっ、わたしも楽しかったです!ありがとうございましたっ。帰りも気を付けてくださいね」