さぁ、オレと恋をしてみようか

でも千織さんの笑顔を見る限り、そんなふうには思われてない……と、思う。


さっきは走って3分だったけど、今はお互いゆっくり歩いてるから5分か6分はかかるはず。


そんなベラベラ喋ることなんかしなくていい、ただトナリにいてくれるだけで幸せだ。


この手のぬくもりだけで、じゅうぶんだ。


「あのさ」
「はい…?」


千織さんが言葉を探すように、ゆっくり会話を続ける。


「真守のことだけど…」
「真守さん、ですか?」
「うん、そう。ただのオレの勘なんだけど、アイツには気を付けて」
「え」


まさか、そんなことを言われるなんて思ってなかったから、言葉に詰まる。〝気を付けて〟って、どういう意味?


「いや、なんとなくなんだけどさ。まぁ、オレからもあとで芽衣子のことは言っとくけど、もしチョッカイかけてきても無視していいから」
「え、あ、はぁ……」


チョッカイって…。まぁ、話しやすい人ではあったけど、ただのお客さんだし。