蒼い木々が一層と茂る森:ジェレメフォレスト。
空は綺麗な晴天で、ピクニックに丁度いい気温である。
この、大きな氷さえなければ。

大きな氷が、オブジェのように無造作に置いてあった。
氷の付近の土は凍り、木々も表面が凍りついている。

緑髪の少年が巨大な氷の前に棒立ちになっていた。
少年の大きな瞳はトパーズのような黄色の輝きがあった。
右目の近くに雫のペイントがあり、どこか神秘的な少年である。

「なんだ、この氷……」

少年はピタりと掌を充ててみた。
氷なので勿論冷たい。

「はあ……螺旋の火柱」

ボソリと呟き、銀色の指輪が光る。
すると、氷の周りを火柱が包んだ。
ジュワジュワと氷は溶け始めた。

少年の名は隼 湖畔(はやぶさ こはん)
大道芸人をしている道化師である。
彼は聡明な魔導師だった________