愛ニ狂ッタ人








彼女は私がつまらなく感じていることを知らず、ペラペラ語り始めた。

その口調は、“わたしは正しいことをした”と言っているように、得意気だった。





「妹はね、わたしをお姉様って呼んで、とても信頼してくれていたのよ。
わたしも、妹が大好きで。
両親の離婚で離れ離れになってしまったけど、たまに会える時間が嬉しかったの。

わたしが今の学校への進学を決めた時もね、あの子言ってくれたの。
お姉様と同じ学校に行けるよう、頑張るわって。

言った通り、あの子は同じ学校へ進学した。
ますます会える時間が増えて、とても嬉しかったわ。

あの子は本当に真面目な子なの。
誰にでも分け隔てなく接して、困っている子には優しくして。
先生にも受けが良くて、真面目で、優等生って言葉がピッタリなの。

そんなあの子が、立ち入り禁止の屋上へ鍵を盗んで入って、お酒を飲んで死んだって聞いて。
わたし、凄く驚いたし、信じられなかったの。

あの子は失恋を理由にお酒を一気飲みしたって聞いたわ。
いくら失恋したとしても、法を犯すようなこと、あの子は絶対にしない。
そう訴えても、警察も学校も聞いてはくれなかった。


あの子が死んで数日経った時、先生たちの話を聞いてしまったの。
アイツ―――わたしを2位へ落とした王子と呼ばれるアイツが、生徒の中で唯一、屋上へ入ることを許された存在だとね。

屋上の鍵は、あの子のポケットに入っていたから、あの子が盗んだと思われていた。
だけど、屋上へ入ることを許されている王子なら、愛恵を殺すことは簡単だと思えたの。



わたしは王子を呼びだして、問い詰めたわ。
だけどアイツは、屋上の鍵を持っていることは認めたけど、愛恵を殺したことは知らないの一点張りだった。

だから、復讐してやったの。
愛恵を殺したことを思い出せるよう、保管室から赤いペンキを取り出したの。

屋上から転落死の愛恵は、愛恵の血で真っ赤に染まっていたと、警察から聞いたから。


血のように真っ赤なペンキを見れば、自分の罪を認めると思ったからよ!!」






私は何も言わず聞いていて、初めて知ったことがあった。

屋上の鍵は、2つあったのだと。