愛ニ狂ッタ人








それにしても、と思う。

滝田愛佳も、残念な人だ。

彼に手を出さなければ、殺されることもなかったのに。





あくまで私は、“彼のため”に殺人を行う。

“彼のため”に復讐者になるのだ。

誰かのために復讐者にも殺人者にも、なりたくない。

“彼”が存在して、初めて私は復讐者にも殺人者にもなれるのだ。






決めたのだ。

初めて私を愛してくれた彼を、愛すると。

どんなにいじめられても、責められても、似合わないと罵られても。

決めたのだ、彼を守り、愛し抜くと。






「待たせたわね」

「わざわざ、ありがとうございます」




一応お礼は言うけど。

目の前に置かれた高級そうなティーカップに、私は一切手を触れない。

彼女は私に構わず、中に入った紅茶を飲むけど。




紅茶が嫌いなわけではない。

だからといって、好きでもないけれど。

安心できないから。





殺す前に殺されては、私はただの殺人者だ。

私が今まで考えてきた復讐計画が、全て水の泡と化してしまうのも困る。

考えるのも用意するのも、時間とお金がかかったのだから。

簡単に殺されては、お金も時間も無駄になってしまう。

私はアナタみたいに、裕福では決してないから―――。