何も知らない彼女は、私を広いリビングへと案内してくれた。
そして、座り心地は良いけど、趣味の悪いソファーへ腰かけた。
…何で家の外見といいソファーといい、趣味が悪いのかしら?
エリートな人は、趣味悪いの?
彼は、趣味が良い。
私へよく小物をくれるけど、どれも私のお気に入りばかリ。
お世辞ではなく、彼の選ぶものを、趣味が悪いなんて思ったことはない。
彼女は殺人者(わたし)をリビングへ残し、台所へ飲み物を取りに行っている。
私はその間、立ち上がって、リビングを物色した。
そして、色々準備してきたものを、所々に設置した。
リビングが、彼女の死ぬ場所だから。
にしても、自分で自分を殺人者なんて言いたくないわね。
だって、滝田愛佳の殺人計画は全て、彼のため。
彼のためじゃなくちゃ、私は犯罪なんて起こさない。
そう。
殺人者なんて、言いたくない。
呼ぶならそう…復讐者が良い。
だってこの計画の目的は、彼の顔に哀しい色を浮かべた滝田愛佳への、復讐なのだから。
復讐があってこそ、殺人者になるのだから、私は。
ただの巷でどんどん起こる殺人者と、同じにしてほしくない。
この殺人は、
“彼のための”、殺人なのだから。


